蝸牛の歩み

蝸牛の如く,ゆっくりでも着実に前へ・・・

ドキュメンタリー

銭湯で風呂上がりに見た「情熱最前線・ドキュメンタリーのみかた」という番組、非常に面白かった。あのオチには「やられた」と思った。
ドキュメンタリー番組を初めて作ることになった、若手ディレクター。まずは番組作りを見学して勉強するのだが、「仕込み」が許されるのかということに疑問を感じる。また、撮影をすることでどうしても撮られる側がカメラを意識してしまって、普段通りの様子が撮影できないことにも気づく。そうこうしながら、デビュー作品を作ることになるのだが、撮影後編集する段階になって苦悩し始め、ついには失踪してしまう。という、ドキュメンタリー番組の制作についてのドキュメンタリーなのだ。
取材のマスターテープと、彼がまとめた仮編集テープを見比べると、彼が何に悩んでいたのかがわかってきた。琵琶湖で巨大ナマズを釣るというのを撮影したのだが、マスターテープによると取材開始後30分でナマズが釣れてしまった。ところが一時間番組なので尺が足りない。仮編集テープでは、前日から泊まり込んだりして、釣れたのは3日後だということになっていた……
で、こういう場合にはどうすべきか、みたいな話のあとに、「そこへ、失踪していたディレクターから連絡が入った」というのである。スタッフが訪れた彼の部屋で彼が語り始めるのだが、カメラがパンすると実は彼の部屋じゃなくてスタジオでした、というのがオチ。ドキュメンタリー制作に関するドキュメンタリーというのは実はウソで、ドキュメンタリーについて考えてもらうためのフィクションだったというわけ。失踪したディレクターは実は役者さんで、釣り上げたナマズも樹脂製だったんだって。全然気づかなかったよ〜
結論として、ドキュメンタリーなんていうけどそれは「真実」を映したものじゃない。そのことを常に意識しながら見ましょうね、ということか。