蝸牛の歩み

蝸牛の如く,ゆっくりでも着実に前へ・・・

「天使の卵」

村山由佳の原作が好きなのでぜひ見に行きたいと思っていた「天使の卵」。調べてみたら今日までということだったので、バイトを早めに抜けさせてもらって見に行ってきた。いやー、これは素晴らしい。以前同じく村山由佳原作の「きみのためにできること」の映画を見てがっかりしたことがあるので過大な期待しないようにしていたのだが、これは無理して見に行った甲斐があった。

あ、そうそう、三条のMOVIXなのですが別館(?)ができて駐輪場がなくなったと思っていたら、実はあったのですね。本館・別館とも建物の南側に入り口があります。
以下、ネタバレあり注意。
原作が好きな者としては、やはり原作との違いが気になってしまう。この映画、ところどころ原作と変わっているところがある。一つはタイトルにもなっている「天使の卵」の正体。原作では主人公の歩太がヒロインの春妃にプレゼントした卵に翼の生えたデザインのピアスだったのだが、映画ではバイト先の動物園で拾った偽卵になっている。この変更はなかなかGOOD。鳥の巣の絵を描いて、そこに偽卵を置くというのはにくい演出だ。
一番大きな変化はエンディング。この話、最後に春妃が死んでしまうのだが、原作だと絶望の底に突き落とされてそのまま終わってしまう印象を受けていた。「形見に欲しいものがあったら持っていって」と言われて手に取ったのが歩太が春妃を描いたクロッキー帳。それを開くと「そこには春妃がいた。どのページにも、どのページにも、春妃があふれていた」で終わる。この部分をどう読めばよいかよくわからないまま、悲しいイメージを持っていた。これに対して映画のエンディングでは、4年後へと時間がすすむ。姉の絵をもう一度描いて欲しいという妹の夏妃の説得もあって、歩太は再びカンバスに向かう。そうして描き上がった絵の中には、ずっと会いたくても会えなかった春妃がいた。4年前から止まってしまっていた歩太と夏妃の時間が再び動き出すという感じ。文字にしてしまうと似ているようだが、僕が受けた印象は正反対で、映画の方が明るい希望が持てるイメージだった。このエンディングの変更に関しても、高く評価したい。

主人公の歩太役の市原隼人、夏妃役の沢尻エリカもよかったが、何といっても小西真奈美の春妃が実にはまり役。演技もすばらしかった。

あと、京都っぽい風景だなーと思っていたら、本当に京都だったのでびっくり。そういえば京大の花山天文台でロケが行われたというのは何かで読んだ記憶が。他にも小料理屋は中京区姉小路堺町の「光泉洞寿み」だとか、電車は嵐電だとか。とすると、あの川って鴨川だったのかな?