蝸牛の歩み

蝸牛の如く,ゆっくりでも着実に前へ・・・

前の職場へ

D厳寺高原で車中泊したが、朝方に寒くて目が覚めた。6時前に起床。朝日を浴びる棚田の写真を撮りながら車を走らせる。一年間住んでいても知らなかった景色がまだ多い。そこで住んでいても、余裕無く働いていてプラプラと走り回ることが少なかったことの証左だろう。

昨年、豆蜆?が採れた地点に向かう。標本にする前に乾燥させてしまったので、生きた個体を再採集したかったのだ。ところが「通行止め」「通り抜けできません」の標識が立っている。しかし、通り抜けしたいわけではなく、途中から林道に入りたいだけなのだ。多分大丈夫なのではと思いながら看板をすり抜けて進むと、果たして問題なく林道に入ることができた。おそらくその先が工事中なのだろう。

目的地に着くが、何だか昨年より水量が少なく雰囲気が違う。水田に水を引いているからだろうか。ともかく網を入れるが、豆蜆もどぶ蜆も見あたらない。自分で採ったわけではなく、N野さんが小学生たちと一緒に採ってきてくれたものなので、ひょっとするとこの池ではないのだろうか。そう思いながら見回すと、池の横から小道が延びている。ひょっとして別の池に続いているのだろうかと思いながら山道を登ると、大きな岩が見えてきた。隠れた名所と言われるI見堂だった。I善師匠から夕日スポットと聞いてはいたが、初めて来た場所だ。

何となく視線を感じて見上げると、そこにはカモシカがじっとこちらを見つめていた。その姿に圧倒され、鳥肌が立った。シシ神様に射すくめられたようだった。しばし見つめ合ったが、カモシカは微動だにしない。ひょっとして車にカメラを取りに戻ってもまだその場にいるのではないかと淡い期待を抱き、急いで車まで往復した。しかし、既に彼の姿はなくなっていた。がっかりしながらI見堂に登り始めたらすぐ上から「ドドッ、ザッ、ザッ、ザッ」という足音が。物陰に隠れ、息を潜めてこちらをうかがっていたらしい。今度こそ森の中に逃げてしまったかと思ったのだが、I見堂に登ってみると、下の岩場からこちらを見上げていた。レンズを交換する間もないまま夢中で数枚シャッターを切ったところで、彼は森の中に姿を消した。

9時過ぎ、ドライアイスを買いにマチまで行き、前職場へ。休みの人が多くて、N野さんにも、M上さんにも、K林さんにも会えなかったのが残念。展示を見せてもらい、レストランで食事。夏野菜カレーは今年もおいしかった。

さらに森で地温ロガーを回収、さらに冷凍庫の冷凍サンプルを回収し、13時ごろ前職場を後にする。

往路と違って高速を80〜90キロで走ったところ、燃費がかなり良さそうな感じ。しかし、この速度だとなかなかいいペースメーカーがいない。平日だと左車線をトラックがリミッターめいっぱいの時速90キロで走っていてちょうどいいペースメーカーになるのだが、休日なのでそれもいない。経済速度は80キロと言われているので、このガソリン高騰の時代、みんながこの速度で走るようになりそうなものだが、不思議なものだ。結局のところ、ガソリン代が気になる人は車に乗って遠出しなくなり、今高速を走り回っているのは燃費を気にしない連中ばかりなのかもしれない。