蝸牛の歩み

蝸牛の如く,ゆっくりでも着実に前へ・・・

イソギンチャクの麻酔


イソギンチャクを標本にする際、そのままエタノールに放り込んだのでは触手が縮んでしまっていい標本にならない。触手の本数が同定のキーになる場合があるので、触手が伸びた状態で固定したい。一般的にはLメントールが使われるようだ。

Lメントールは蛞蝓を固定するときの麻酔にも使うので持ってはいるのだが、博物館の実験室にある。わざわざ取りに行くのもなぁ。ということで、家にあったり簡単に手に入るもので代用できないか試してみた。

まずはタバコ。ニコチンに麻酔作用があると聞いたような気がするので、シケモクをほぐして入れてみた。1時間後、イソギンチャクにも巻き貝にも特に変化なし。うーん、効かないのか。

次に、Lメントールの入った薬がないかと探してみたら、強力常盤白紅*1があった。成分はリンク先を見てもらえばわかるとおり、Lメントールが2%含まれている。これを適当量たらしたところ、しばらくは巻き貝の動きが激しくなり、その後イソギンチャクが動かなくなり、手で触っても触手を縮めなくなった。そこで70%エタノールに放り込んだのだが、麻酔がかかりきっていなかったようで触手を縮めてしまった。その後、一晩放置したところお亡くなりになったようで、今度はエタノールに入れても縮まなかった。ということで、強力常盤白紅は麻酔に使えそうなことが判明した。

ちなみに、たとえ採集先でLメントールを使うことが多いとしても、車内にLメントールを積みっぱなしにしない方がよい。何となれば、車内が高温になることにより昇華・再結晶し、しまいには一塊の大きな結晶と化すからである。

*1:鹿児島で昔から使われている薬で、肩こりや筋肉痛、打撲などに使う、塗り薬