蝸牛の歩み

蝸牛の如く,ゆっくりでも着実に前へ・・・

解剖

人から依頼された煙管貝の解剖をやっている.小さい(といっても煙管の中ではでかい方だ)ので実態顕微鏡下で丁寧に解剖するため,普段のマイマイに比べて格段に時間がかかる.本当はその後スケッチをしなければならないのだが,写真で済ませているのに,だ.
今日やったやつは中でも難物だった.口が狭くなっているので,どうしても軟体が出てこないのだ.無理に引っ張ったり遠心分離器にかけたりしているうちに,とうとう一個体ズタズタにしてしまった.同じ種類があと一個体いたのだが,それも引っ張っても出てこない.しかし「解剖してくれ」と頼まれたのだから,できませんでした,と言うわけにいかない.そこでやむなく殻を破壊することにした.コレクター心情として,殻こそ重要なものであって,それを壊すなんてとんでもないと思うのだが,研究のためとならば仕方がない.小型ドリルで殻を切り取ったところ,きれいに肉が取り出せた.無惨なことになった殻をしげしげと眺めたが,入り口のところは狭いだけじゃなくて弁があったり複雑な襞があったりして,こりゃ出てこないわけだ.これは捕食者に対する対抗進化なのだろうか?