蝸牛の歩み

蝸牛の如く,ゆっくりでも着実に前へ・・・

明星山の岩壁にとりついて

明星山西壁

朝6時ごろ起床。お湯を沸かしてインスタントラーメンを食べる。腹ごしらえをしたところで、いよいよ登山口から山に入る。最初は杉が多いが、じきに広葉樹林になる。

しばらく登ると、右手に石灰岩の露頭が現れた。さっそくそこまで登ってみると、左巻きマイマイがついているではないか。こんなにあっけなく見つかってよいのか、村山舞舞。しかしよく見ると村山ではない。螺塔が高すぎる。単なる左巻舞舞のようだ。これはがっかりである。明星山の左巻舞舞を日本三大がっかりに推薦したいと思う。

Ueshima and Asammi (2003)では村山舞舞は左巻舞舞の亜種として扱われており、系統樹でも村山舞舞は左巻舞舞クレードに含まれている。つまり村山舞舞は左巻舞舞の明星山亜種であり、明星山に原名亜種の左巻舞舞が生息するというのは面白いといえば面白いことだ。

さて、その露頭をあとにしばらく登ると、木々を通してさらに大きな石灰岩の壁が見えてくる。足下は石灰岩の石ころがごろごろしている。ここらで林に入り陸貝を探してみたところ、微小種をはじめ結構見つかった。

さらに進むと木がなくなって視界が開け、西壁と呼ばれる石灰岩の岩壁が眼前に姿を現した。その巨大さには本当に圧倒される。村山舞舞は石灰岩の割れ目や、ところどころに生えているツゲなどの根元に隠れているという。この巨大な岩のどこかに潜んでいるのだろう……。しかしロッククライミングの技術はないので、とりあえず岩壁の下で、手の届くところについていないか、あるいは地面に落ちていないかを見ていく。しばらくめぼしい収穫がなく、やはり村山舞舞は珍品なのだなぁ、とあきらめかけていた。しかし、探し続けたかいあって、ついに殻を発見した。

殻があるということは、生きたのがいるということ。とはいえ、場所は岩壁の真下であるから、はるか上の方から落ちてきたという可能性も高い。岩壁はほとんど垂直だが、場所によっては何とか登れそうな場所もある。そんな岩場を少しだけ登ってみたのだが、結局怖い思いをしただけであった。そして、いくら探しても生きたものはみつからなかった。

頂上まで登らず、15時ごろ下山。別ルートからの登山道もあるので、今度はそちらから登ってみたい。ちなみに、↓がヒスイ峡の展望台から見た南壁。これを最初に見ていたら、絶望したかも。

帰りにオサトラップを回収するも、ゴミムシばかり。いないのか、かけた場所が悪いのか、時期が悪いのか。来年の春あたり、もう一度採集してみたい。