蝸牛の歩み

蝸牛の如く,ゆっくりでも着実に前へ・・・

干潟チロリ

先日、野外調査で干潟に行ったときに、にょろにょろ系のムシを採ってきた。この類はどうにも苦手なのだが、だからといって干潟の生態系を紹介するときに避けて通るわけにもいかない。


で、そいつを手の上に乗せていたら、吻をにゅるっと伸ばすではないか。これなら見たことがあるぞ。
http://zoo2.zool.kyoto-u.ac.jp/ethol/flv/07/0705/momo070516gc01.flv ※音が出ます
吻を出し入れするチロリ」石田惣 MOMO VideoArchives. momo070516gc01b

その名もチロリ。種小名もchirori学名は従来のGlycera chiroriからGlycera nicobaricaに変更されている。近縁種でヒガタチロリという種もいるようだ。ただ、ヒガタチロリの方は、ちょっとひっかかる紹介をされている。干潟ウォッチングフィールドガイドによると、

まだ正式な名前としては認められていないが、「ヒガタチロリ」という別の種も同じような場所にいる。形も大きさもどう猛さもチロリとほとんど変わらない。

とのこと。ウェブ検索しても「ヒガタチロリ(仮称)」として紹介しているページがある。未記載種というわけじゃなくて、学名はGlycera macintoshiらしい。
「認められていない」って一体誰が認めていないのだろう。論文や出版物として発表されてないという意味かな?別に和名なんて命名規約があるわけでもなし、査読つき論文で発表しないといけないってもんでもないはずだけど。

それはさておいて、チロリとは疣脚の鰓が4〜5分枝することで区別できるとのこと。改めて標本を確認すると、確かに鰓が分枝している。ということで、今回採ったのはヒガタチロリの方らしい。

写真を撮影したときにモノは採らないことが多々あるけど(自分も他の人も)、やっぱり標本は大事。