蝸牛の歩み

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昔の写真の著作権についてのメモ

大正時代の写真

今、春の企画展の展示パネルを作っているのだが、その中で昔の町の様子がわかる写真を使いたいと思った。そこで公民館に問い合わせてみると、大正時代の写真が見つかった。しかし、撮影者は不明。これを勝手に使わせてもらってよいものか。

一般に、保護期間は著作者の死後50年とされている(著作権法51条2項)。しかし今回の場合は著作者の死後50年が経過しているかどうかわからない。

これが著作権法でいう「無名の著作物」であるとすると、保護期間は公表後50年である(著作権法52条1項)。公表後50年以内で著作権が切れておらず、著作権者と連絡することができないときは、文化庁に申請して補償金を供託することにより利用が可能となる(著作権法第67条)。あぁ、何て面倒な……。

ところが、Wikipedia:著作権の保護期間 - 写真の著作物を見ると、実はそんな悩まなくてもよさそうなのだ。

  • 1956年12月31日までに発行された写真の著作物の著作権は1966年12月31日までに消滅している
  • 1946年12月31日までに製作された写真についても、未発行であれば1956年12月31日までに著作権は消滅するし、その日までに発行されたとしても、遅くとも1966年12月31日までには著作権は消滅する。

これは1899年の旧著作権法では、写真の著作権の保護期間は発行後10年(その期間発行されなかった場合は製作後10年)と規定されていたため。そう、現行著作権法でいくら「公表後50年以内」と言ったところで、以前の著作権法で既に著作権が切れてしまったものは復活できないのだ。

ということで、今回は大正時代に撮影されたということで明らかに「1946年12月31日までに製作された」ので、著作権は消滅している。安心して利用することができるというわけだ。

と思う。もし間違っていたらご指摘を……